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子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について|神明通りクリニック

2025/11/12

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について

院長の吉岡早苗です。

子宮頸がんワクチン(=ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン)について書こうと思います。なぜなら、

全国の高校1年生相当の女子が
ワクチン完全無料になるための1回目接種期限が11月末!!!!

男子の子宮頚がんワクチン無料接種をしている自治体でも
高校1年生相当の男子完全無料の1回目接種期限が11月末!

と無料でワクチンを打って病気を予防できる期限が迫っているからです。

 

 

 

目次

  1. 1,なぜ、子宮頸がんワクチンを打つのか
  2. 2,男性にとっての子宮頸がんワクチンとは
  3. 3,子宮頸がんワクチンの副反応について
  4. 4,子宮頸がんワクチン、シルガード9の投与スケジュール
  5. 5,結局、ワクチン接種はしたほうがいいの?(院長の保護者としての視点より)
  6. 6,当院でも、子宮頸がんワクチン接種しています。

 

 

1,子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を打つのか(マザーキラーといわれる癌)

 

HPVとは「ヒトパピローマウイルス」という言われるウイルスで、女性の癌である子宮頸がんの主な原因とされています。性器にできる癌ですので、主な感染経路は「性交渉」になります。

癌を発症しやすいHPVのウイルスの感染を防ぐ、「子宮頸がんワクチンの接種」ががん予防としてすすめられています。

HPVは性交渉を通して感染していくので、性交渉を始める前の小学校6年生から高校1年生相当の女子が
定期接種として無料する機会があります。

がんは大体40代50代から発症してくることが多いので、

「こんな若いうちからがんのワクチンなんて打たなくても」という意見もあるかもしれません。

だいたいの癌はそうなんですが、子宮頸がんは20代30代のうちに発症して、場合によっては死亡に至るため、「マザーキラー」と呼ばれています。小さい子供を残して、母親が子宮頸がんで亡くなってしまうからです。その様子は

子宮頸がんの罹患率は、国立がん研究センター がん情報サービス(子宮頸部)の統計情報を見るとよくわかります。

 

 

年間罹患例10690例、生涯罹患率は100人に一人程度です。グラフを見ればわかりますが、
高齢でない、30代から罹患割合は高く出てしまっています。

ちなみに死亡例は年間3000人ほど、一生涯で子宮頸がんで亡くなる割合は300人に1人の計算になります。

欧米では日本より先行して子宮頸がんワクチンが接種されており、子宮頸がんが減少に転じています。


2,男性にとっての子宮頸がんワクチンとは

 

「さっきから性交渉でかかるって言っているけど、性交渉って通常は男女でするわけで、男性はなにもしなくてよいのでしょうか?」

と思った方、その考え方は女子の私としては、本当に正しいと思います。

胎児に深刻な奇形をもたらす風疹も、かなり前は女子だけが風疹ワクチン打っていました。

しっかりとした予防のために、途中から男女ともに風疹のワクチンを接種をするようになっています。

全く同じ考え方が、子宮頸がんワクチンに適応されるのではないでしょうか。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸がん以外に引き起こす癌としては、

  1. ・中咽頭がん(のどの奥の癌)
  2. ・肛門癌
  3. ・尖圭コンジローマ(肛門周囲の良性の腫瘍)

 

が代表的です。

男性が子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を打つことに関しての直接的な利益は、
これらの癌や良性腫瘍の予防と言えます。ですが、
やはり自分の妻やパートナーに対してHPV感染を防ぎ子宮頸がんから守る、
ということが最も大事な目的でしょう。(と私は考えます。)


主に東京23区内はすでに男子の子宮頸がんワクチンの無料接種が行われています。
対象は小学校6年生から高校1年生相当の男子になります。

今のところ女子に使用されるシルガード9(9価のワクチン)ではなく、
ガーダシル(4価のワクチン)のみですが、最もや子宮頸がんになりやすい
HPV16型、18型、を予防するのに加えて、
肛門周囲のイボ(尖圭コンジローマ)の原因となる
HPV6型、11型も一緒に予防できます。
接種回数は3回です。

3,子宮頸がんワクチンの副反応について

 

「とはいえ、副反応怖いじゃないですか」

そのご意見もごもっともです。

 

主なものを上げると

50%以上 ワクチン打った場所の痛み

10-50%  打った場所の腫れ、赤み、 頭痛

1-10%未満  頭がぼーっとしてふらつく、気持ちが悪くなる、下痢、かゆみ、発熱、疲労、内出血など

といった感じです。(こちらは当院のカルテにも記載をして患者様にもお渡ししています)

 

 

その他、重大な副作用と初期症状として添付文書にも挙げられている以下の病気に関しては、
同じ厚労省のHPのQ&Aに報告頻度付きで説明があり、
いずれも頻度はとても低いようです。

 

 

それ以外に、また、「多様な症状」といって、
ワクチン接種と直接的な因果関係が説明しにくいような、
副反応も報告はあります。(詳しい説明は先ほどの
「接種に関しては、情報をよく見てご自身の判断で決めるべき」
という原則は大事だと思います。

4,子宮頸がんワクチン、シルガード9の投与スケジュール

 

HPVは性交渉を通して感染していくので、
性交渉を始める前の小学校6年生から高校1年生相当の女子が
定期接種として無料する機会があります。

女子に関してはシルガード9が主に使用されており、15歳までは2回、15歳以上は3回打ちます。

 

 

こちらはシルガード9の投与スケジュールになります。

実はこの方法にはいわゆる「時短スケジュール」が存在し、
1回目と2回目の間を1カ月、2回目と3回目を3カ月、
最短で4カ月で接種が可能です。

 

そして、時短スケジュールをもってしても、
高校1年生相当の女子が完全無料でワクチンを接種するために最後のチャンス、
これがなんと11月末まで迫っているのです!!

ワクチンJAPAN というサイトによると

高校1年生相当の女子は9月の時点で
まだ50%程度のひとしか接種ができていません。

子宮頸がんワクチン(シルガード9)は1本3万3千円ぐらいするし、
15歳以上は3回打たないといけないので、
無料接種の機会をぜひとも見逃さないでほしいです。

ちなみに、男子も事情は同じです。
無料接種を行っている自治体の高校1年生相当の男子は
11月末までにガーダシル(4価ワクチン)1回目の接種に駆け込めば、
年度末までに3回とも無料で打つことができます。

5,結局、ワクチン接種はしたほうがいいの?(院長の保護者としての視点より)

 

「結局、院長のお宅では接種はどうしているの?」

という質問、ありそうです。

 

自分の娘、ワクチンは打ってます。

 

私は婦人科の医者でもないし、ここからは医師としてではなく、
保護者としての意見ですが、接種の決め手としては、
副反応の頻度を考えると子宮頸がんになるリスクを減らせるメリットがあること、
あともう一つ「子宮頸がんの検診で軽度異形成などの異常がでにくくなること」
がありました。

 

子宮頸がん、実はいきなり子宮頸部にできることは少ないです。

がん情報サービスのHP 子宮頸がん検診について

より図を引用しました。わかりやすいようにメモを加えた図を見てください。

 

癌になるには図のような長い道のりがあり、
検診では、いきなり「子宮頚がん」が指摘されるわけではなく、
「異形成」といわれるいわゆる「前がん状態」を指摘されることも多いです。

こういった検診異常に関しては100人に1人~2人ぐらい、
毎年指摘されるそうです。癌まで進んでいない異形成の指摘ならば、
自分の子供が経験する可能性だって十分にあります。

そして、検診でこういう状態を前がん状態を指摘されたりして初めて「えって、」なるわけです。

 

婦人科の先生は「異形成でもがんにはほとんどならないので。。でも経過観察ね」なんていわれて、
悩む患者さんがいるわけですよ、

 

「大丈夫って言っているけど経過観察ってことはがんになるの?」

「一体誰のせいでウイルスが来てしまったの?」

「どの経験が関係している?」

HPVは性交渉でうつるって言っていますが、実際は
外陰部や肛門にもいるらしく、
完全に性器が触れ合わなくても感染が成立してしまうそうです。
(だから、性交渉未経験の子宮頸がんの症例もあるそうです。)

 

また、私自身のかかりつけの婦人科の先生が言っていたのですが、
80歳でも子宮頸部の「異形成」はあるそうです。
HPVが子宮頸部に持続的に感染して、免疫の調子が変わると、
「異形成」として出てきてしまうようです。
直近10年の性交渉だけが原因というわけではないのでしょう。
(幸いこの方は、排除されて、また正常に戻ったそうです。)

 

いろいろ考えられるので、もやもやしたり、
「がんになったらどうしよう」と不安になったり、
嫌な思いをするんじゃないのかなと想像します。

そして、ワクチンが存在した世代のひとなら
「あー、子宮頸がんワクチン、打っといた方がよかったかな~~」と感じるはずです。。

 

 

もちろん、癌になることに比べれば、こういう検診異常の軽度の異常での不安なんて、
大したことがないかもしれません。


ただ、保護者としては子供の癌の予防だけでなく、
こういった不安な経験を減らしてあげられる、という意味でも、
「子供に対してこのワクチン接種を打ってあげたほうがいいんじゃないかな」
医師としてではなく、保護者としては思っている次第です。

 

 

6,当院でも、子宮頸がんワクチン接種しています。

 

神明通りクリニックでは女子の子宮頸がんワクチン(シルガード9)は
ネットでも予約を受け付けております。


15歳以下の方は保護者と一緒に来院ください。

16歳以上はワクチンへの同意の署名は自分でできますので、おひとりで来ていただいて結構です。

(一応保護者のひとには接種する旨伝えておいてくださいね。)

男子は男子に使う「ガーダシル@」のワクチン確保のため、
あらかじめお電話でご予約をお願いいたします。

高校1年生相当の諸君、子宮頸がんワクチン完全無料接種ために、
11月末までに1回目接種の完了をよろしくお願いいたします。