麻疹に都内の5歳のお子さんがかかったそうです。
麻疹は通称「はしか」とよばれ、非常に感染力が強いです。
空気感染をしてしまうので、同じ室内にいたら、マスクをしても予防ができません。
厚労省の麻疹のページ
(
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html)
に麻疹の基本的な情報が載っています。
感染すると約10日後に
発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。
2~3日熱が続いた後、
39℃以上の高熱と発疹が出現します。
肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、
麻しんウイルスに感染後、特に学童期に
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。
わたしが子供のころは「ワクチンを打ってもはしかにかかることはあるのよね、」
なんていわれて、なんとなくかかるのを待ってみたり、
母親同士の会話で「うちの子はもうはしかにはなった、3日ばしかはまだ、」
みたいなことを言っていたような記憶がうっすらあります。
実際には子供がかかると1000人に1人ぐらいの割合で死亡するなど、
現代の感覚からすればかなり恐れるべき感染症と言えます。
しかも、内科医としての私自身は、
もうワクチンなどで完全に予防がされている年代なので、
初発の麻疹を診察したことはありません。
一度だけ修飾麻疹(一回麻疹になって、もう一度かかってしまうこと)
だった方をおひとり診察したことがあるのみです。
非常につよい感染力、り患したときのリスクに加えて、診断についての脆弱性もあります。
麻疹については
「麻疹に対する抗体がない人は、ワクチンで麻疹の抗体をつけてこの病気を予防する」のが最善、
ということになります。
では、自分たちが麻疹の抗体を持っているか、という点については以下のような報告があります。
麻疹の抗体率については
国立感染症研究所の2022年の記事
「麻疹の抗体保有状況―2021年度感染症流行予測調査(暫定結果)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2569-related-articles/related-articles-511/11513-511r03.html
こちらによりますと1:128以上で抗体を持っていると、
麻疹、もしくは修飾麻疹の発症予防につながり、
すべての年代で平均して88.2%程度のようです。
この記事を読んでいる人が、
麻疹の発症を予防できるだけの抗体を持っている確率は
9割程度ということです。
だいたいの人は麻疹感染しないわけですが、
ご自身が本当に抗体をもっているのか?
ということは採血で抗体検査を行わないとわかりません。
麻疹自体は一回かかると抗体は十分につくそうですが、
麻疹にかかっておらず、麻疹含有ワクチンを打っていない、
若しくは1回しか打ったことがない方では、調べてみても良いかもしれません。
当院でも、麻疹の抗体検査については自費で検査可能です。
診察基本料が5500円かかり、
そのうえで、麻疹、風疹、おたふく(ムンプス)、
みずぼうそう(水痘)の抗体(EIA法)については
それぞれ2420円で検査を行っています。
風疹はHI法なら1100円です。
御希望の方は予約なしで結構ですので、検査をご希望の方は当院を受診してください。