院長の吉岡早苗です。
当院も10月1日より、診療時間内は予約不要で、
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンを接種いたします。
詳しくは当院の2025年度インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン特設ページをご覧ください。 【→こちら】
さて、この時期になるとよく受けるのは
「ワクチン、どれを打ったらいいの?」
という質問です。
外来ではもちろん患者様の基礎疾患やご年齢を考えて回答していますが、
私個人の基本的な考えは
インフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン)はできるだけ、
全年齢の方が打ってください。
新型コロナウイルスワクチンは、
基礎疾患がある65歳以上の方
基礎疾患がなくても75歳以上の方
できるだけ全員打ちましょう.
になります。
★インフルエンザワクチンを打つ理由
インフルエンザワクチンは伝統的なワクチンであり、
長期にわたっての副反応や個人に対しての副反応も
よくわかっているワクチンなので、
副反応が少ない人はできるだけ打ってほしい
と考えます。
インフルエンザについて厚労省のHPがよく書かれていたので、引用します。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html (厚労省 インフルエンザウイルス(季節性)
「インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。
38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が
比較的急速に現れるのが特徴です。
併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状もみられます。
お子様ではまれに急性脳症を、
ご高齢の方や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、
重症になることがあります。」
つまり、
・急に発熱がでて、全身がめちゃくちゃだるくなる、
・子供は脳症のリスクがある、高齢者などでは重症な肺炎になり寝たきりになるリスクがある、
ということになります。
同じHPにワクチンの効果についても書いてあります。
65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については
34~55%の発病を阻止
82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、
発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。
では、今シーズン(2025年―2026年シーズン)のインフルエンザワクチンは
一体どのぐらいの効果があるのか。
この点に関しては、米国疾病管理予防センター ·(CDC, Centers for Disease Control and Prevention)が
2025年9月25日に発表した報告が参考になります。
(https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/mm7436a3.htm#:~:text=During%20the%202025%20Southern%20Hemisphere,%25%20and%20hospitalization%20by%2049.7%25)
南半球ではインフルエンザは4月~9月にかけては流行するので、
南半球でのインフルエンザワクチンの効果が、
10月以降の北半球のインフルエンザワクチンの効果について当てはまることが多いとされています。
2025年シーズンにおいて、南半球ではインフルエンザワクチンにおいて
発症予防の有効性 50.4%
入院予防の有効性 49.7%
であったそうです。
近年CDCからはインフルエンザワクチンの有効性が
29%~42%と低下していると報告があったことも考えると、
50%の有効性はまぁまぁ良い成績といえるのではないでしょうか。
ワクチンは打ってから2週間もたてば十分な効果を発揮します。
ワクチン有効期間が5カ月とされています。
「ワクチンを打ってもインフルエンザになってしまう」という意見をよくききます。
「物価高だし、効くか効かないかよくわからないワクチンは打ちたくない!」というのもよくわかります。
なので、これはわたくしの私見ですが、もし自分の家族で接種の優先順位をつけるとしたら
1位,75歳以上の高齢者、免疫抑制剤などを使っている人
2位,18歳以下の未成年
3位,65歳から74歳の方
4位,健康な成人の方
というような形で打つ順番を決めることになると思っています。
もちろん、個々のご家族の事情もあると思うので、
ご心配な方は外来でご相談ください。
★新型コロナウイルスワクチンを接種する理由
2023年5月~2024年4月までのデータですが、インフルエンザに比べて
3万人以上の人が新型コロナウイルス感染症でなくなっています。
その95%以上が65歳以上の高齢者です。
この現実が、75歳以上の高齢者を中心に新型コロナウイルスワクチンを打つように勧める強い理由になっています。

ファイザーのHPより
この人数は2024年から2025年のシーズンにかけては
3万5千人程度であり、減ってはいません。
では、どれだけ新型コロナワクチンに発症や入院予防効果があるのか、
最近のデータは、長崎大学熱帯医学研究所を中心とした研究チームが発表していました。
Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第12報
(https://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/versus/results/20250610.html 2025年6月10日
に詳しいです。
こちらの昨年JN1(オミクロン株)に対する新型コロナワクチンの効果を評価した報告です。
発症予防の有効性に関しては、
18歳以上において
接種後7~60日では55.5%
接種後61日以上では53.5%
65歳以上だけでみると、発症の予防効果は、
接種後7~60日では56.2%、
61日以降では34.8%
入院予防の有効性に関しては
60歳以上において、入院予防の有効性は63.2%
発症予防、予防ともにある程度の効果が認められます。
新型コロナウイルスワクチンの副反応は高齢者においては少なく、
助成もあり杉並区民の方では2500円で打てますので、
基礎疾患がある65歳以上の方、
基礎疾患がなくても75歳以上の方は、
接種のご検討お願いいたします。
もちろん個人よっても優先度は変わるので、心配な方は外来でご相談ください。
新型コロナウイルスは厄介なワクチンで、
流行するウイルスの方が半年ぐらいで変わったりします。
ワクチンそのものの有効性も、3カ月から半年程度です。
また、日本においても新型コロナウイルスに関しては冬だけでなく、
夏にも流行っています。もう10月になるところですが、
今、この時期に新型コロナと診断される人は
春ごろに比べればかなり多い印象です。
本来ならば、夏の流行に対応した形で、
春ごろコロナワクチンの追加接種を高齢者に絞ってでもよいので、
行政に行ってもらいたいと思う次第です。
当院では特にご希望なければファイザーのmRNAワクチンを接種しております。
こちらにに抵抗がある方は、
組み換えたんぱくによる新型コロナワクチン(武田薬品、ヌバキソビット@)
の準備もございます。こちらは2人一組の予約が必要なので、
お電話に予約お願いいたします。