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HPV(子宮頸がん予防)ワクチン 男性接種について


こんにちは、院長の吉岡早苗です。


杉並区は残念ながら行っていないようですが、
東京都のほかの区では男性のHPV(子宮頸がん予防)ワクチン接種が行われているようです。
すでに16区が助成を開始しているそうです。

東京都保健医療局リンク
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/hpvdansei_info.html


上のリンクの通り、思った以上に多くの区が接種の補助を開始していることに、驚きました。
杉並区は残念ながらHPVワクチンの男性接種では出遅れており、
医師会でも杉並区に助成を行うよう要望を提出している、と伺ったことがあります。



そもそもHPVワクチンって何?
という方にご説明いたします。


HPVウイルスは、主に性交渉でうつり、子宮頸がんの原因になります。
女性にとっては20代、30代の若い年代で子宮頸がんとなり、
命を落とすことがある怖いがんで、「マザーキラー」とも言われています。

現在女性は小学6年生から高校1年生相当の女子がHPVワクチンの定期接種の対象となっています。
使用されているワクチンは主にHPV9価のワクチン、「シルガード9」で
内科主体の当院でも接種を行っています。

また、一時期HPVワクチン接種が控えられていた世代
(平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女性の中に、
通常のHPVワクチン定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方がいらっしゃいます。
その方に向けてキャッチアップ接種を現在行っているところです。

(キャッチアップ接種についてくわしくは厚労省のこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html



では、男性にとってHPVワクチンとはどのようなものか?

「子宮頸がん予防なんだから、男の俺は関係ないですよね」



という心の声が私にも伝わってくる気がしますが。。。

決してそのようなことはありません!

実は男性もHPVウイルスによってかかる病気があります。
主に、中咽頭がん・肛門がんや、性感染症である尖圭コンジローマ等になります。
HPVワクチンを打つことによって男性もこれらの病気が予防できます。

また、ワクチン接種による感染予防をすることで、
性交渉によるHPV感染から女性を守り、子宮頸がんの予防にもつながります。
女性としての私は、ここにはとても注目してしまいます。

胎児へ重大な影響を及ぼす「風疹」ですが、以前は女性だけ予防接種を受けていました。
それだけでは不十分なので、現在男性も風疹の抗体の有無を調べ、
抗体がない場合は麻疹風疹ワクチンの接種対象になっています。

その歴史を考えると、HPVワクチンもできれば男性も接種したほうが良いと言えるでしょう。


男性のHPVワクチン接種については東京都保健医療局の
「HPVワクチンの男性への接種について」がとてもよく書いてあります。興味がある方は参照してください。
(リンクはこちらhttps://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/hpvdansei.html



尚、男性には4価の「ガーダシル」のみが適応となっています。
こちらは、子宮頸がんのハイリスクのウイルス(HPV16,18型)に加えて、
尖圭コンジローマ(HPV6、11型)を予防できる4価のワクチンです。
当院でも接種可能で、合計3回の接種が必要です。1回接種は18000円税込みになります。
ワクチン接種希望の方は電話でのご予約をお願いたします。


ちなみに、尖圭コンジローマは性交渉で感染し、
陰部に鶏のとさかのような、カリフラワーのような小さい腫瘍ができる病気だそうです。



詳しくは下のサイトをご覧ください。
東京都感染症情報センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/wart/



しかし、HPVワクチンに関しては、どうしても性交渉が感染経路に関係があるため、
オープンに話しにくい気もしてしまいますね。

オープンに語られにくい分、情報が浸透するのが遅く、
尖圭コンジローマに何回もかかってしまい「ワクチンで予防できるなら早く知りたかった。。。」
と残念に思う患者さんもいらっしゃると聞いたことがあります。

やはりワクチンで予防できるものは予防する、という考えが基本的な考えになりますので、
不定期ながらオープンに情報発信していきたいと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。